□ Program Director(PD)
平井 康晴(ひらい・やすはる) 
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター副所長

「量子ビームの新展開」
1906年にアルベルト・アインシュタイン(A.Einstein)が電磁波の粒子性(光量子仮説)を提唱して100年、今や量子ビーム(光子、中性子、電子、ミュオン、イオンなどのビーム)は、宇宙誕生の謎の探求から白色LEDの実用化に至るまで、“超ログスケール”の舞台で活躍しています。
「量子ビーム基盤技術開発プログラム」では、この量子ビームを生成するための革新的技術の探索や、高度化技術の開発、および利用技術の開拓をめざし、広く斬新な提案を募った中から採択された課題が実施されつつあります。例えば、超伝導加速空洞を用いたコンパクトな大強度電子加速器とレーザを用いて偏光X線を生成する技術の開発もありますし、その技術をナノテク、バイオ、環境などの研究分野でいかす研究も進められています。さらには、医療や産業分野での利用についても検討が進められています。また、AVFサイクロトロンの高精度磁場測定技術や磁場安定化技術などの開発によって、先進的イオンビームの高度化をはかり、マイクロ・ナノ加工や育種などへの応用をめざした研究も実施されています。
これらの課題の実施により、先端的な量子ビーム基盤技術の獲得と産学官の連携による利用分野でのイノベーション創生が期待されます。また、将来,このような量子ビームの生成と利用が、共通のプラットフォーム上で進められ,横断的な利用が展開されることが望まれます。
皆様のご理解とご支援を宜しくお願いいたします。