"Beams !"
ノーベル賞を受賞した小林・益川理論の実験的な検証に貢献した高エネルギー加速器研究機構の加速器KEK-Bに代表されるように、高速な電子やイオンのビームを発生させる最先端加速器は、素粒子や原子核の研究のための装置として発展し続けてきました。しかしながら、最近では、加速された電子やイオンのビームはもちろんのこと、これらから二次的に発生する光子(放射光)や中性子、パイ中間子、ミュオンなどのさまざまビームが、素粒子・原子核物理学以外の学問分野でも使われています。さらには、医療や産業などでも利用され、社会生活に役立つものになっています。今や、各種の光子・粒子ビームは総称して「量子ビーム」と呼ばれています。
このような現状を踏まえ、量子ビームがより一層実社会に役立つことをめざして、その基礎基盤技術開発研究を行うために「量子ビーム基盤技術開発プログラム」を進めています。このプログラムは、学術的な基礎科学研究(Fundamental Scientific ResearchあるいはPure Science )段階と実用的な開発(DevelopmentあるいはPractical Technology)段階の間にあって、この間の切れ目のない橋渡しとなるものです。いうなれば、実用化を念頭におきつつも、基礎的な基盤研究(Basic ResearchあるいはApplied Science)段階を担うものと位置づけられます。
量子ビームに関して、これまで見過ごされがちであった、この基礎的な基盤研究=Basic Research段階の研究を強化するために、企業を含めいろいろな研究機関に属する研究者が連携して進めていくプログラムの発足は、まことに画期的なことです。このプログラムから、社会に有用な次世代的および高度化された量子ビーム技術が生まれてくることと、それを発展させる若い人材が育つことを期待しています。
皆様のご理解とご支援をお願いします。